

都内ライブハウスにて思いがけぬ運命の悪戯に出会う。
以前リリースに携わったSさんが出演するので、そのゲストで入場したら、
ひな祭りにちなんで女性アーティストのみの編成、98%は男性客。
このイベントのトリで出演したのが、何と以前私の生徒だったKさん。
当時は事務所預かりの特待生で、その才能は他の追随を許さぬものがあった。
まだ、活動を続けてたのか!
8年ぶりの再開に思わず懐かしさがこみあげる。
南極物語チックな感動。
しかし、環境は変化する。
今、私の隣には音楽業界の重鎮、ピーナッツMプロデューサーがいる。
Sさんのライブが終わり、続いてKさんの演奏が始まった。
相変わらず歌唱力・ルックス共に申し分ない、更に経験も加わった。
Sさんも良かったが、kさんのパフォーマンスは、より完成されていて、やはり違う!
どうよ、Mプロデューサー?
『はあ、全く駄目だねぇ。』
な、何故?
『kさんの演奏で印象に残ったフレーズ、何かある?』
な、無い。
『歌が上手くてカワイイ子なんて沢山いて、問題は何が伝わるかですよ。中身!
Sさんの方が歌は下手だけど、まだ客もノッてましたよねぇ。』
そうか、ライブはフィギュアスケートや体操と違い、技術を魅せるものではない。
むしろメッセージや生き様など、観客の心に突き刺さる何かがないと、
いいアーティストとは言えないのだ。
売れてる人には何かしらその色気というか、そんなものがあるのだろう。
たしかにKさんのパフォーマンスは完璧に見えるが、高揚感がない。
そう、パチンコのガセリーチに似ている。
「CR花の慶次」で言えばキセル予告→白襖→一本気大将と言った所だ。
『彼女、どうしても形だけになってしまう。このままダメになるパターンだね。』
形だけではダメになる、これは実社会にも当てはまる。
形だけの挨拶や会議での発言、人付き合い。
中身が伴って初めて一人前って事だ。
正直ギャンブルする時間は、そういった中身の向上はまず、ない。
その分、形を取り繕って埋め合わせて来た...これは実にマズイ!
『鈴木さんがイイ人なんだけど、モテないのと同じ事ですよ。』
参りました、その通り。